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きょうりゅうとう

恐竜島

海野 十三

「PTA世界少年」1948(昭和23)年1月号~終了月は未詳

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,662 字 · 199 页

青空文庫

筏の上には食料品が、もうほとんどなかった。水もない。だからあの島へ上陸することが出来れば、なにか腹のふくれるものと、そしてうまい水とにありつくことが出来るだろう。

「また帆をはろうや」ラツールがそれをいいだしたので、玉太郎もさんせいして、すぐさま残りの材料をあつめて二度目の帆を張り出した。

島との距離は、あんがい近い。海上三キロぐらいだ。はじめはそうとう大きい島だと思ったのが、空がすっかり晴れてみると、小さな島であることが分った。

風が残っていたので、帆が出来ると、筏はかるく走りだした。それに、やはり潮流が、その方へ流れていると見え、筏をどんどん島の方へ近づけていった。

だが、いよいよ島の近くに達するまでには四五時間かかった。太陽はすでに西の海に沈み、空は美しく夕焼している。その頃になって、島の上に生えている椰子の木が、はっきりと見えるようになった。

「明るいうちに、島へつきたいものだね」

「こぎましょうか」

「こぐったって、橈もなんにもない」

風と海流の力によるしかない。

「家らしいものは見えないね。煙もあがっていない」

島の方をながめながら、ラツールは失望のていである。