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かなしいごかい

悲しい誤解

豊島 与志雄

「女性改造」1949(昭和24)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,139 字 · 23 页

青空文庫

不思議と、父の姿も姉の家の義母の姿もすべて老人たちの姿は心に写らない。老人と若い者とは縁が遠いのであろうか。いや、老人はなにか生活的にしっかり根を下しているのだ。若い人々こそ、将来の長い生涯が不安定で、頼りなく憐れなのだ。若いサラリーマンは憐れだ。生活的に自立していない人々が、世の中になくならないものか。

ちきしょう。私はコップをスタンドの上にとんと叩いた。

「もう一杯。」

「そんなに……悪酔いしますよ。お盃になさいよ。」

みさ子が言い、さよ子が用をして、銚子と盃を私のところへ出し、にこっと笑った。

私に思いやりを寄せてるのだ。すると、私も憐れなのであろうか。ばかな、彼女たちの方こそ憐れじゃないか。戦争未亡人だの、女工上りだの、いくら取り澄したって、こんなところに働いていて、どこに拠りどころが、頼りどころがあるのか。

「ねえ、みさ子さん、さよちゃんもよ、こんなところやめちまえよ。」

「あら、どうして?」

「いいことを教えてやろう。やきいも屋を初めるんだ。」

「やきいも屋……。」

みさ子は珍らしく笑った。

「今年は、さつまいもが沢山出来てるんだぜ。あり余るほど出来てる。