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かなしいごかい
悲しい誤解
豊島 与志雄
「女性改造」1949(昭和24)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,139 字 · 23 页
花はやがて枯れてゆくだろう。蝿はやがて飛べなくなってしまうだろう。
私は仕事を投げ出して、煙草を吹かした。言い合わしたように、皆が煙草を吹かしていた。そのくせ、誰も黙っていて、互に顔をそむけてるのである。
一枚の通牒が廻ってきた。主任梅田の署名で、読後に各自サインをしてくれとの注意がしてある。
――今日堀田君は、専務から円満辞職を勧告されて、承諾したそうである。今後も、斯かる事態はあり得ることと予想される。就ては、われわれはわれわれのポストを強化するため、明日正午から一時までの休憩時間に、われわれだけの懇談会を開くことにしたい。もれなく出席されるよう希望する。なお、この際、円満辞職を聊かなりとも望まれる向は、考慮の上、明日午前中、小生まで内々申出でを願う。斯くすることによって、不本意なる円満辞職の強制を無くし、各自安心して職務に勉励出来るようにしたいのである。懇談会の儀、お忘れなきよう。以上。
おかしな通牒だ。これに、堀田もサインして、あの卑屈な苦笑を浮かべたのを、私はちらと見て、眼を外らした。腹が立つよりも寧ろ、情けなかった。
時間が実にのろのろたってゆく。