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わたしのちちとはは
惜しみなく愛は奪う
有島 武郎
有島武郎『惜しみなく愛は奪う』。同一底本的分册已合并为一书。收入:私の父と母、二つの道、片信、広津氏に答う、小作人への告別、宣言一つ、想片。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,351 字 · 70 页
その「することはできない」という覚悟をもって自分の態度にしたいものだと僕は思うのだ。ここが客観的に物を見る人(片山氏のごときはその一人だと思う)と、前提しておいたように、僕自身の問題として物を見ようとする人との相違である。ここに来ると議論ではない、気持ちだ。兄はこの気持ちを推察してくれることができるとおもう。ここまでいうと「有島氏が階級争闘を是認し、新興階級を尊重し、みずから『無縁の衆生』と称し、あるいは『新興階級者に……ならしてもらおうとも思わない』といったりする……女性的な厭味」と堺氏の言った言葉を僕自身としては返上したくなる。
次に堺氏が「ルソーとレーニン」および「労働者と知識階級」と題した二節の論旨を読むと、正直のところ、僕は自分の申し分が奇矯に過ぎていたのを感ずる。
しかしながら僕はもう一度自分自身の心持ちを考えてみたい。僕が即今あらん限りの物を抛って、無一文の無産者たる境遇に身を置いたとしても、なお僕には非常に有利な環境のもとに永年かかって植え込まれた知識と思想とがある。外見はいかにも無一文の無産者であろうけれども、僕の内部には現在の生活手段としてすこぶる都合のよい武器が潜んでいる。