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わたしのちちとはは

惜しみなく愛は奪う

有島 武郎

有島武郎『惜しみなく愛は奪う』。同一底本的分册已合并为一书。收入:私の父と母、二つの道、片信、広津氏に答う、小作人への告別、宣言一つ、想片。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,351 字 · 70 页

青空文庫

そしてかかる経済生活を打却することによってのみ、正しい文化すなわち人間の交渉が精神的に成り立ちうる世界を成就するだろうことを予想しているように見える。結局彼は人間の精神的要求が完全し満足される環境を、物質価値の内容、配当、および使用の更正によって準備しうると固く信じていた人であって、精神的生活は唯物的変化の所産であるにすぎないから、価値的に見てあまり重きをおくべき性質のものではないと観じていたとは考えることができない。一つの種子の生命は土壌と肥料その他唯物的の援助がなければ、一つの植物に成育することができないけれども、そうだからといって、その種子の生命は、それが置かれた環境より価値的に見て劣ったものだということができないのと同じことだ。

しかるに空想的理想主義者は、誤っていかなる境界におかれても、人間の精神的欲求はそれ自身において満たされうると考える傾きがある。それゆえにその人たちは現在の環境が過去にどう結び付けられてい、未来にどう繋がれようとも、それをいささかも念とはしない。これは一見きわめて英雄的な態度のように見える。しかしながら本当に考えてみると、その人の生活に十分の醇化を経ていないで、過去から注ぎ入れられた生命力に漫然と依頼しているのが発見されるだろう。