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わたしのちちとはは

惜しみなく愛は奪う

有島 武郎

有島武郎『惜しみなく愛は奪う』。同一底本的分册已合并为一书。收入:私の父と母、二つの道、片信、広津氏に答う、小作人への告別、宣言一つ、想片。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 34,351 字 · 70 页

青空文庫

そして彼はその生活革命の後ろに何を期待したか。確かにそれは人間の文化の再建である。人々間の精神的交渉の復活である。なぜなら、彼は精神生活が、物的環境の変化の後に更生するのを主張する人であるから。結局唯物史観の源頭たるマルクス自身の始めの要求にして最後の期待は、唯物の桎梏から人間性への解放であることを知るに難くないであろう。

マルクスの主張が詮じつめるとここにありとすれば、私が彼のこの点の主張に同意するのは不思議のないことであって、私の自己衝動の考え方となんら矛盾するものではない。生活から環境に働きかけていく場合、すべての人は意識的であると、無意識的であるとを問わなかったら、ことごとくこの衝動によって動かされていると感ずるものである。

私はかつて、この衝動の醇化された表現が芸術だといった。この立場からいうならば、すべての人はこの衝動を持っているがゆえにブルジョアジーとかプロレタリアートとかを超越したところに芸術は存在すべきである。けれども私は衝動がそのまま芸術の萌芽であるといったことはない。その衝動の醇化が実現された場合のみが芸術の萌芽となりうるのだ。