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ゆかいなきょうしつ
愉快な教室
佐藤 春夫
「マドモアゼル 第一巻第五号」小学館、1960(昭和35)年5月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 10,276 字 · 21 页
「まだ眼もあいていないこんなものはつれて来ても育つものか。もう死にかかっている」
というのに、牛乳などを与えていたが、それさえ飲めないで、果して一二日のうちに死んでしまった。
それでもなおこりないで、その次には前のよりはいくらか大きいのを連れて来て、今度のは無事に育ってチビというやすっぽい名にもかかわらず、すばらしく大きく、堂々たる虎猫になり、今はデカチビと呼ばれて、現にわたくしの家のなかにのさばり返っている。別にしつけたわけでもなかったが、カナリヤの籠は一度もねらったことはなかった。なかなかかしこい奴でドアや大きな引戸なども上手に開けて出入する。
チビがはじめて家に来たころ、これをうらやましがっていた、わたくしの甥の長女のM子は、どこからかまっ白な狐のようにスマートな小猫をつれて来てミミーと名づけて愛育しはじめた。M子の家はわたくしの家からほんの百二三十歩という、ごく近いところにあるから、デカチビはミミーと友だちになって、ここもわが家同様に心得て毎日のように遊びに行っている。
毎日ミミーのところへ出かけるのはデカチビばかりではなく、わたくしの家内も同じことである。