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ゆかいなきょうしつ

愉快な教室

佐藤 春夫

「マドモアゼル 第一巻第五号」小学館、1960(昭和35)年5月1日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 10,276 字 · 21 页

青空文庫

(2)

うちの婆さんはM子の祖母に当るので孫たちのところへ行くのである。

うちのばあさんはうちのデカチビが、いつもご馳走をどっさり食べているのに孫のところのミミーがあまり粗食でかわいそうだと、時々デカチビのご馳走の一部分を持って行ってやるので、ミミーはうちのばあさんの足音をおぼえて遠くから耳を傾けて待ち受けていると孫たちの話すのを聞いて、ばあさんはそれがうれしくて毎日ミミーにご馳走を運んで行くようになった。

わたくしの一族というのはこんな人間の集りなのである。

(2)

甥の家には十八になる高校三年のM子を頭にその次のNが男で中学二年、末がまた女でU子というのが小学校の四年、ばあさんがかわいがるはずで子供好きのわたくしにはみなそれぞれにおもしろくかわいいが、特におもしろいのはU子である。

この子は取り上げるとすぐ手をしゃぶったと産婆をおどろかせただけあって一風変った子供で、学校へ入って字をおぼえると早速に、

「まいにちおこめをあげますからここへきてください、すずめさん」

と雀に手紙を書いて庭の隅の石の上に置いてあったのを兄のNに見つけられたという話もある。作文が好きで書くことが早くわたくしの見るところ文才もあるように思われる。