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ゆかいなきょうしつ
愉快な教室
佐藤 春夫
「マドモアゼル 第一巻第五号」小学館、1960(昭和35)年5月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 10,276 字 · 21 页
去年の夏は一家で北海道へ旅行した紀行文を夏休みの宿題に書いていたが、或る遊園地でアイヌが狐の子を飼っていたのを兄のNが抱いてM子のカメラにおさまったのを見て、今度は自分の番だとU子が狐の子を兄の手から受け取ろうとすると兄にはおとなしく抱かれていた狐の子がU子にはかみつきそうにした。「それを見たお兄ちゃんは、
『U子はいつも心がけが悪く意地わるなのを狐も知っているから狐もおとなしく抱かれないのだ』
といいました。ほんとうにしつれいしちゃうわ」という一句で文を結んでいるのであった。この文に対して、先生が、景色などももう少しよく見てくわしく書けばもっとよかったでしょうと評したというのがU子には大不平で、この日は霧の深いわるいお天気で景色はよく見えなかったと書いてあるのに、見えない景色を書けなんて無理でしょうと、もっともな抗議を母親に訴えたという。
U子にはたいていの大人はみなやり込められて、ばあさんなどは毎度、
「またこんな行儀の悪い下駄のぬぎ方をしているのはおばあちゃんでしょう」
と叱りたしなめられる。もし誰かがこの子を何かからかいでもすれば、大人でもきっと口利いしっぺ返しを覚悟しなければならないという鋭い頭の子で、去年の小春日和に、U子が、