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ゆかいなきょうしつ
愉快な教室
佐藤 春夫
「マドモアゼル 第一巻第五号」小学館、1960(昭和35)年5月1日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 10,276 字 · 21 页
たらしいが、いつの間にか前と同じぐらいの数が集って来て、今もやはり七匹ぐらいは教室に住んでいる。
こんなことになったのは、クラスにE子というとても犬の好きな子がひとりいたためである。E子はとても愉快な子で、逗子から通学していて、家は製薬会社の社長とかいうことであるが、E子は言うところでは、
「『うちの薬は利かないらしいわ。でも病気になるとうちではすぐお医者を呼んで、お医者の薬ばかり飲んで、うちの薬はちっとも飲まないのですもの』
ですって。学科はとても優秀なのよ」犬が好きで、うちでもドロシーという名の犬を飼っているという話であった。ドロシーとはいい名ねとみんなが言うと、
「いい名でしょう」とE子は得意で「わたしがつけたのよ。――わたしのあとをよちよちとつけて来て、どろんこの脚ですたすたと家のなかへ這入り込むと、玄関でいきなりおしっこをして、それっきりどう追ってみても出て行かないし、かわいい小犬だし、宿無しでしょう、無理に追い出すのもかわいそうだから飼ってやることにして、わたしが名をドロシーとつけてやったのよ。一年半ほどいたが、この間ジステンパーで死んだから。