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あいか
愛か
李 光洙
「白金学報 第一九号」1909(明治42)年12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,381 字 · 11 页
彼は聡明の方で、彼の父は彼に小学など教えてはその覚の好いことを無上の喜楽として、時々は貧困の苦痛をも忘れていた。彼が父母に死なれて、後二三年間というものは、東漂西流実に憐なものであった、しかしそのうちにも彼は友人より書籍を借りて読み、順序ある学校教育は受けることが出来なかった。けれども彼の年輩の少年に負は取らなかった。彼は家庭の影響と貧苦の影響とで至って柔和な少年であった、――むしろ弱い少年であった。にも拘わらず彼は非常な野心を抱いていた。何んとかして一度世間を驚かしたい、万世後の人をして吾が名を慕わしめたいというのは、つねに彼の胸に深く潜んで離れないところであった、これがために彼は一層苦んだのである。彼は何の為すところなく死することを恐れた。ここに一道の光明は彼に見われた、それはある高官の世話で東京に留学することになったことである。実に彼の喜は一通でなかった、彼は理想に達するの門を見付けたように雀躍したのである。
彼は早速東京へ出て芝なるある中学の三年に入学した。成績も好い方で皆にも有望の青年視せられた、云わば彼は暗黒より光明に出たようなものである。