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あいとにんしきとのしゅっぱつ
愛と認識との出発
倉田 百三
在线阅读倉田 百三《愛と認識との出発(あいとにんしきとのしゅっぱつ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 64,420 字 · 129 页
悪はいつも抽象的に物の一面を見て全貌を知らず、一方に偏して全体の統一に反する所に現はれるのである。悪がなければ善もない。悪は実在の成立に必要なる要素である。(善の研究――三の十二)
と述べさらにアウグスチヌスの語を引いて、陰影が画の美を増すがごとく、もし達観すれば世界は罪を持ちながら美であるといっている。われらはライプニッツ以来議論の多いこの説明が、この世界より悪の存在を除き去るに完全なるものとは思わない。そこには種々の疑問が挾み得るであろうが、氏のごとく自然の円満と調和とに純なる憧憬を有する人にとっては、その企図の方針はむしろ当然のことであると思う。氏にとりてはもともと精神と自然と二の実在があるのではない。両者はただちに唯一実在である。その実在の統一力が神である。自己の本然的要求は神の意志と一致するのである。宇宙は唯一実在の唯一活動であり、その全体は悪を持ちながらに善である。
四
宗教は自己に対する要求である。自己を真に生かさんとする内部生命の努力である。欠けたるものの全きを求むる思慕である。みずから貧しくして、偽りに満ち、揺らめきて危うきを知る謙遜なる心が、豊かにして、まことに、金輪際動揺せざる絶対の実在を求むる無限の憧憬である。