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かんじょうのうごき
感情の動き
宮本 百合子
「文章倶楽部」1927(昭和2)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 949 字 · 2 页
喜び
人に使われずに、自由に勝手な自分の好きなことをしていられるのは、嬉しいことには違いない。
作家として、本当に自分自身の仕事が出来た時、心に感じたままを、一ばん心に訴えてくるものを、そっくりそのまま書けたら、それこそ最大の喜びであろう。
怒り
人間としてわたくしは、怒りもする、憤りもする。そしてその怒りや憤りの感じを、芸術の中に再現する。
作家としてよりも先ず人間としてわたくしは――そういえば、画家だって俳優だって、怒る時には怒り、憤る時には憤るであろう。
哀しみ
作家としての哀しみというと、それは第二義的のことに過ぎない。人間としての感情では――それは「怒り」の場合の言葉を繰返すに過ぎない。
楽しみ
わたくしはいつも生きることを先にして来た。わたくしにはいつもプロフェッションがあとからついて来た。
――気がついた時、わたくしはもう作家になっていた。
先ず生きること、と思うのはわたくしの生れつきなのであろう。
苦しみ
母親は息子を育てる。苦しみ、案じ、労わり、可愛がって。