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わがじんせいかん

我が人生観

坂口 安吾

04 (四)孤独と好色

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,633 字 · 16 页

青空文庫

つまり、本当に孤独になるということと、本当に性慾から解放されるということは、どこまで生きてもあり得ない。彼が死に至るまでは。私はそれを下山総裁の事件をかりて、自分勝手のエスキスで現してみた。しかし、それは、下山氏の場合だけがそうではなくて、あらゆる人間がそうなのだ。

彼がどのように偉くても、たとえば、徳行高い九十歳の文豪であろうとも、世を捨てた九十歳の有徳の沙門であろうとも、彼の骨にからみついた人間と性慾から脱出して孤独になることはできないであろう。しかし、それを知って人間に絶望してみたって、話にならない。そこから現世へ戻ってきて、理性的工作に訴える以外に手はないし、そうしなければ生きて行く身の身も蓋もない話である。

遊びせむとや生れけむ

戯れせむとや生れけむ

遊ぶ子供の声きけば

わが身をぞこそゆるがるれ

悲しい歌だ。我々はこの悲しさから脱出することができるだろうか。我々の理性的工作がどのようであろうとも、たぶんこの切なさを切りすてることはできないだろう。なぜなら、理性で処理のきかない世界だから。我々の骨にからみついた人間模様と性慾のあの世界だから。