轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

われにそむく

我に叛く

宮本 百合子

「太陽」1921(大正10)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,414 字 · 59 页

青空文庫

恐しさに堪えないような気持がした。と同時に、必死な、何とでも闘おうとする猛々しさがこみあげて来るのを感じた。彼女は、到頭、避けよう、避けようとしていた衝突に、我から胸を突当ててしまったのである。

真木は、正面に、ゆき子と向い合った。そして、

「ゆき子」彼は強いて穏な言勢を執った。「何が不満なの? 議論することがあるなら、ちゃんと、順序を立ててしよう。矢鱈に亢奮したって分らないからね」

「――貴方は、私が何か云い出すと、直ぐ、先ず、亢奮するな、とおっしゃるのね。第一、そう定めてかかっては戴きたくないわ」ゆき子は哀れなほど激しい眼で良人を見た。

「私はね、貴方が、私の不満を御自分で感じて下さらないことが、不満なのよ」

「僕には、何にも不満はない」

「そう! あるべき筈ではない、と定めていらっしゃるのね」

「そうじゃあないか? お互に健康で、段々生活が確立して、仕事が纏まって来れば、これほど感謝すべきことはない」

「どういうのを、生活の確立したものだとお思いになるの?」

「それは」

ゆき子は、焦立たしげに遮った。

「私はね、生活の確立したものを、世間並に、小金でも蓄めて、いい旦那さん奥さんになったのを云いはしませんのよ。