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せんそうろん

戦争論

坂口 安吾

「人間喜劇 第一一号」イヴニングスター社、1948(昭和23)年10月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,716 字 · 22 页

青空文庫

非文化的な保守性というものは、逆に軽率なお先棒かつぎとなり、軽率な急進的外形を見せるものである。

たとえば、落語家が、戦争中は、軍部に迎合して、エロ落語を地下にうずめて塚を立て、いっぱし高座の上から、軍国的お説教をきかせて得々たるものであったが、民主主義になったら、エロを墓から掘りだし、代りに、殿様の落語は反民主的だと、これを墓に入れたという。こりることを知らないのである。これも亦蟻の勤勉と同じことで、焼跡へ、同じ家をつくるばかり、こゝにあるものは、進歩とあべこべの、根柢的な永遠の保守的反動的性格があるばかりである。

角力が又、今年から、力士が座布団をやめて、ムシロの上へ坐っている。これから首を斬られる順番を待っているのじゃあるまいし、第一、見た目に汚らしいじゃないか。それぐらいなら、化粧マワシも、ついでに、チョンマゲもやめるがいい。いっそ、角力を、やめるがいゝや。土俵というものがあって、四本柱があって、そのマンナカに二人のふとった人間が組打ちして、そういう元々へンテコなものが存在する限り、それに附属するへンテコな行事や作法があるのは当然ではないか。