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げさくしゃ
戯作者
国枝 史郎
「サンデー毎日」1925(大正14)年4月1日春季特別号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,218 字 · 21 页
初対面
「あの、お客様でございますよ」
女房のお菊が知らせて来た。
「へえ、何人だね? 蔦屋さんかえ?」
京伝はひょいと眼を上げた。陽あたりのいい二階の書斎で、冬のことで炬燵がかけてある。
「見たこともないお侍様で、滝沢様とか仰有いましたよ。是非ともお眼にかかりたいんですって?」
「敵討ちじゃあるまいな。俺は殺される覚えはねえ。もっともこれ迄草双紙の上じゃ随分人も殺したが……」
「弟子入りしたいって云うんですよ」
「へえこの俺へ弟子入りかえ? 敵討ちよりなお悪いや」
「ではそう云って断わりましょうか?」
「と云う訳にも行かないだろう。かまうものか通しっちめえ」
女房が引っ込むと引き違いに一人の武士が入って来た。大髻に黒紋付、年恰好は二十五六、筋肉逞しく大兵肥満、威圧するような風采である。小兵で痩せぎすで蒼白くて商人まる出しの京伝にとっては、どうでも苦手でなければならない。
「手前滝沢清左衛門、不束者にござりまするが何卒今後お見知り置かれ、別してご懇意にあずかりたく……」
「どうも不可え、固くるしいね。私にゃアどうにも太刀打ち出来ねえ。へいへいどうぞお心安くね。お尋ねにあずかりやした山東庵京伝、正に私でごぜえやす。