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げさくしゃ

戯作者

国枝 史郎

「サンデー毎日」1925(大正14)年4月1日春季特別号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,218 字 · 21 页

青空文庫

とこうバラケンにゆきやしょう。アッハハハハどうでげすな?」

「これはこれはお手軽のご挨拶、かえって恐縮に存じます」

「どう致しまして、反対だ、恐縮するのは私の方で。……さて、お訪ねのご用の筋は? とこう一つゆきやしょうかな」

「は、その事でござりますが、手前戯作者志願でござって、ついては厚顔のお願いながら、ご門下の列に加わりたく……」

「へえ、そりゃア本当ですかい?」

「手前お上手は申しませぬ」

「それにしちゃア智慧がねえ……」

「え?」と武士は眼を見張る。

「何を、口が辷りやした。それにしても無分別ですね。見れば立派なお侍様、農工商の上に立つ仁だ。何を好んで幇間などに……」

「幇間?」と武士は不思議そうに、

「戯作者は幇間でござりましょうか?」

「人気商売でげすからな。幇間で悪くば先ず芸人。……」

ツルリと京伝は頤を撫でる。自分で云ったその言葉がどうやら自分の気に入ったらしい。

「手前の考えは些違います」

「ハイハイお説はいずれその中ゆっくり拝聴致すとして、第二に戯作というこの商売、岡眼で見たほど楽でげえせん」

「いやその点は覚悟の前で……」

「ところで、これ迄文のようなものを作ったことでもござんすかえ?」