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げさくしゃ
戯作者
国枝 史郎
「サンデー毎日」1925(大正14)年4月1日春季特別号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,218 字 · 21 页
「さて」と蔦屋は居住居を直し京伝の顔色を窺ったが、
「身上半減でこの蔦屋もこれ迄のようにはゆきませんが、しかしこのまま廃れてしまっては商売冥利死んでも死なれません。そこでご相談に上りましたが、今年もいよいよ歳暮に逼り新年の仕度を致さねばならず、ついては洵に申し兼ねますが、お上のお達しに逆らわない範囲で草双紙をお書き下さるまいか。」
余儀ない様子に頼んだものである。
京伝は腕を組んで聞いていたが、早速には返辞もしなかった。――彼はすっかり懲りたのである。五十日の鉄の手錠は彼には少し重すぎた。いっそ戯作の足を洗い小さくともよいから店でも出し、袋物でも商おうかしら? それに今こそ人気ではあるがいつ落ちないものでもなし、それにもし今度忌避に触れたら牢に入れられないものでもない。あぶないあぶないと思っているのであった。
「しかし蔦屋も気の毒だな。身上半減は辛かろう。日頃剛愎であるだけにこんな場合には尚耐えよう。それに年来蔦屋には随分俺も厄介になった。ここで没義道に見捨ることも出来ない」
で、京伝は云ったものである。
「ようごす、ひとつ書きやしょう」
戯作道精進
「さあ忙しいぞ忙しいぞ」