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ぎきょくふっこうのきざし
戯曲復興の兆
岸田 国士
「読売新聞」1951(昭和26)年5月7日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,846 字 · 4 页
私は必ずしもこの原因を「小説」の行きづまりにあると断じるつもりはないが、少くとも、文学におけるジャンルの限界の再認識、更に、戯曲というジャンルの可能性への新しい期待から生れた気運ではないかと思う。
そう言えば私の記憶にある限りでも、例の関東大震災の直後、小説家の数多くが戯曲を書いた時代があった。それがほんの一時の現象にすぎなかったことは、今から思うと残念であるが、当時はまだ、新しい演劇運動はほんとに地についていなかった。築地小劇場に外国劇万能の主張をかゝげ、微々たる創作劇には目もくれぬ風があった。私たちは、新劇協会という貧弱な劇団に拠ってそれらの新作を取りあげはしたが、反響は少かった。今日は事情はまったく違っている。
われわれ戯曲を本業とするものにとって、現在ほど力の入れ甲斐のある時代は未だかつてなかったのみならず、小説家で戯曲も書ける人が現在ほど求められている時代も、また、これまでにはなかったのである。
戯曲家が戯曲を書くのは当り前だが、詩人や小説家が戯曲を書くということを、必要以上に特別なことと考える習慣がなくもない。これは旧い観念だから是非とも打破しなければならぬ。