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ぎじゅつのてつがく

技術の哲学

戸坂 潤

「技術の哲学」時潮社、1933(昭和8)年12月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,443 字 · 164 页

青空文庫

による就職の可能性によって、埋め合せている。だから彼等に於ては、その就職傾向が積極的に表面に出ない潜在的なものであると同様に、その失業傾向も亦、潜在的で眼に見えないものに止まっている。で技術家の社会生活が安定だというのは、無条件に安定なのではなくて、潜在的な失業(Virtual unemployment)として僅かに安定を保っているに過ぎない、ということを見逃してはならないのである。

既成の技術家に就いては、潜在的失業が生活の外見上の安定となって現われているが、処が技術家の候補者に就いては、この潜在的失業が一種の実質的な失業の形を取って現われる。と云うのは、必ずしもすでに持っていた職業を失わないまでも、持たねばならぬ職業にありつけないという意味での失業状態が、ここでは極めて著しい一般情勢なのである。そこで、既成技術家の例の生活安定も決して本当の安定でなかったということは、技術候補者の就職難によって立派に云い表わされているわけである。

世界のどの資本主義国でも、技術家の代表的な候補者は大学乃至各種専門学校出身者であることはすでに述べたが、生産技術に直接関係のある無しを無視して概括的に見ると、わが国に於ける学校卒業生の昨年(一九三二年)春の就職率は、卒業生の約三五パーセントに過ぎない。