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ぎじゅつのてつがく
技術の哲学
戸坂 潤
「技術の哲学」時潮社、1933(昭和8)年12月13日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,443 字 · 164 页
技術の促進は技術家大衆の必然的なイニシャティーブによって行なわれるのではなくて、高々、階級的に数を制限された一定範囲内に偶発する少数の天才的諸個人の思想をあてにしてしか行なわれない、ということにならねばならぬ。これでは発明の大した集積は期待出来ず、又発明技術家が、一般的に優遇されるということも不可能になるだろう*。
* 無論こう云っても、発明はどのような条件の下にでも多少とも自然発生的な展開を見せるということを忘れてはならぬ。特に今日のような軍需上の必要が喧伝されているような時代に在っては最も手近かな発明が続々として現われることも可能である。曰く無電飛行機・白粉から鋼鉄を取る発明・強力磁鋼・アルミニウムの銀メッキ・金属性織物・其の他其の他。だが注意すべきは、之等のものが多くは技術の跛行的な発達に寄与する処のものであって、必ずしも技術の正常な発達の因子だとは限らないという点である。
労働者農民が自分の内から大衆的に技術家を見出さねばならず又見出すことが出来る筈の社会に於ては、技術家の発明的天才・独創の観念、又発明そのものの観念は、之とは全く別である。