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ぎじゅつのてつがく

技術の哲学

戸坂 潤

「技術の哲学」時潮社、1933(昭和8)年12月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,443 字 · 164 页

青空文庫

社会主義の社会に於てはこの意味で、大衆こそ独創的でなければならず、それが又ソヴェート同盟などに於て事実となって現われて来つつある様である。そこでは独創的な個人が社会計画の結果として大衆的に輩出し、それが凡て社会的に役立てられなければならないのである。

この点は、既にソヴェート同盟の生産技術上の独創性に関して指摘することが出来る。資本主義の社会では発明という生産技術上の独創は、無論社会全般(?)の福祉を増進するためにこそ奨励されねばならぬと考えられているにも拘らず、それが全く個人主義の観点から取扱われる。発明者は国家から特許権を獲得した場合、それから先は彼の貴重なパテントを単なる一商品として、砂利や古新聞と全く同格に、商品交換の自由競争場裏になげ出す外に道はない。それが資本家によって買い上げられればまだしも、あまりに有効な発明は失業を増大させるから却って特許を与えられないという憂目さえ見なければならない。資本家によって買い上げられたパテントは旧いパテントで充分に利潤が上っている限り永久にとって置きになるかも知れない。だから折角の社会的な大発明も全く個人的な有償無償の物数奇な試みに還元されて了う。