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ぎじゅつのてつがく

技術の哲学

戸坂 潤

「技術の哲学」時潮社、1933(昭和8)年12月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,443 字 · 164 页

青空文庫

の方向に向って拡張されて行きつつある。技術の量的質的発達はかくて、単に抑止されるばかりでなく量的に引きもどされ従って又やがては質的に引きもどされることにならざるを得ない。のみならず会社・工場に付属している各種の研究所の活動は一般的に云って活動をそれだけ鈍らされざるを得ないのであり、それが国家の財政に基く研究機関であるならば、一般的失業による歳入減・所謂匡救費支出・警察費の拡張・軍備費の超越的膨脹・等々の結果から、それだけ「経費節減」を受けねばならぬ*。研究所や工場に於ける技術家が出来るだけ整理されるのは当然であろう。かくて技術は、単に不況という一現象――之は現代資本主義のほんの表面的な一現象に過ぎない――だけから云っても、その幸運な発達を阻止されつつあるのが事実である。

* 一九三二年秋、相談に着手し始めた処の「日本学術振興会」の創立の如きは、何もこの点の反証にはならぬ。なぜなら之は結局一方に於て思想善導を動機とし、他方に於て軍事科学の研究を動機とするものであって吾々の分析の今の場合にはぞくさないから――後を見よ。

不況の一原因ともなり一結果ともなるものは資本の独占であるが、この独占資本制は技術の発達に対して極めて特徴ある制約を与える。