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ぎじゅつのてつがく

技術の哲学

戸坂 潤

「技術の哲学」時潮社、1933(昭和8)年12月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,443 字 · 164 页

青空文庫

だが――或る他の意味に於て――客観的な外的形態の内に宗教の本質を見なければならぬと考える、実証的宗教学者達によれば、宗教の本質は、そうした宗教意識や宗教体験にあるのではなくて、却って、それの文化的表現であり又は社会的存在条件である処の既成宗教の儀礼・礼拝・教会制度・経典・信条・等々の内にこそなければならぬ。宗教現象は全く社会関係の所産に過ぎないとさえ説明されているのである。

無論、既成宗教は一定の社会的存在形態を取らなければ実際の宗教でなく、従って宗教的意識の内容たる信仰内容も具体的にならないが、そういう社会的条件から発生し又それに対応するにしても、なお且つもはや社会的条件には解消し切れない何かの独自な宗教の「真理内容」があることも本当だろう。――だが以上の二つの場合のどれにもまだ、宗教の本質が本当には出ていない、と考えられる理由がある。

と云うのは、宗教は民衆の阿片だ、という極めて含蓄ある言葉を聴いて、人々は云うのである。既成宗教の多くのものはなる程阿片の目的と結果とを有つだろう、だが宗教の真理をなす宗教体験そのものは何等阿片であるどころではなく、却って実践や闘争のエネルギー源とさえなり得るものなのだと。