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ぎじゅつのてつがく

技術の哲学

戸坂 潤

「技術の哲学」時潮社、1933(昭和8)年12月13日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 84,443 字 · 164 页

青空文庫

尤も「哲学」に対してもっと忠実な信仰家達は、同じ目的のために、文明と文化とを峻別するという工夫を知らないのではない。蓋し文明はイギリスから来たもので、イギリスの産業革命に於ける技術的発達に結び付いた言葉であるから、元来それ自身技術主義(?)の合言葉である。之に反して、文化はドイツ精神そのものに外ならず、技術文明の上に精神の世界を君臨させるための呪文なのである。で、技術を失脚させるためには文化を持ち出せば好い、とそう彼等は私かに考えるのである。

だが、文明と文化とを対比させ、文化を文明の上に位させ、それによって忌むべき「唯物論」を抑圧することは、思想史上でも学術史上でも、決して新しい知恵ではない。ドイツの「文化哲学」や「文化社会学」は全くそうした文化主義のために工夫された学問でしかないので、夫はこの役目さえ果せば退場して好いものなのだが、処がまだその役目を果さない内にその役目を果すことの出来ないこと自身が判って来たので、そこでこそ愈々、文化は危機に臨んでいることを自白しなければならなかったのである。文化社会学の如きはそれ自身、文化危機を告白するための社会学でしかない。