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おしいれずいひつ
押入れ随筆
吉川 英治
「暮しの手帖」暮しの手帖社、1957(昭和32)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 6,648 字 · 14 页
二つのニュース
家具にしても、汚れたり傷ついたら、ちょっと、ソーダ洗いして、ラッカーかニスでも塗れば生れ変ったようになるのに、年がら年じゅう、古びた物を、茶ぶきんか何かで拭くだけで使っている。壁もそうだし、らんまや天井もそうだし、ドアにしても、家を建てたときの儘というのが、大部分のようである。
これが、船室などのばあいだと、ドアの金具でも、シンチュー磨きで、つねにピカピカにしておくのが、あたりまえだし、ひまがあると、あなたこなたを、好みの塗料で塗っている。ま、そんなに迄はしないでも、ふつうの家庭でも、フロ場、便所などの水栓の金具など、もすこし、サビない程度にだけでも、きれいにしておけないものだろうか。銀座辺の小ビルだの、そこらの建物の内へ入っても、いつも私は、そんなことを思い出す。
この夏、軽井沢の山荘で、ふと家じゅうの手で、家の衣更えをやらせてみた事がある。たちまち、古家が、明るいほどになってしまった。やればやる習慣もつくのである。子供らなどは、おもしろがって、しまいに、外のゴミ箱から、ブリキの古いチリ取りまで、すっかりお化粧してしまった。
二つのニュース
新聞を見ているうちに、朝めしの膳がくると、つい、ハシを手にしたままあとを読みつづける習慣が私にはある。