轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
おしえのきせき
押絵の奇蹟
夢野 久作
「新青年」1929(昭和4)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 58,749 字 · 114 页
の表情にしてみたり、琴を弾いている阿古屋の悩ましい姿にしてみたりして遊んでは、たった一人で気持ちよくホホと笑うことさえありました。そうして、それがお母様の世間に対する腹癒せであるかのように思われまして「不義者の子」という名前が、何ともいえず気持ちよくさえ思われて来るので御座いました。
こんな事まで申上げて、失礼とは存じますけれどこれは私の十二の年から十四五歳になります間のことで、私が何となく、男の方の御親切を喜ばぬような性質になりましたのも、その頃の事ではなかったかと思われるので御座います。
けれども、そのうちに十四五にもなりますと、私の気もちが又いくらかずつかわって来たように思います。
今も申しましたようにその頃までは毎晩家中寝静まられましてから、たった一人でお湯殿の鏡台の前に坐るのが、私の秘密の楽しみのようになっておりました。そうして毎夜毎夜そのような物思いをくり返しては、泣いたり笑ったりしないことは御座いませんでしたが、そのうちにフト鏡の中の私の顔の輪廓が、どことなく亡くなられたお母様にも似て来たのに気が付いてビックリすることが度々あるようになりました。