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きょこくいっちたいせいとこくみんせいかつ
挙国一致体制と国民生活
戸坂 潤
「改造」改造社、1937(昭和12)年9月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,570 字 · 17 页
の精神と、可なり一致するものなのだから、常識的角度から云えば、社会政策の代用物という風に見られることになるわけだ。尤も常識外推進的な角度自身からすれば、之は社会政策の代用品や何かではない、挙国一致は挙国一致として価値があるのであって、それが社会政策に類似するとすれば、つまりそれは挙国一致の一偶性の然らしめる処と云う他ない。元来挙国一致の他に、社会政策などというものを考えることが邪道なのだ。挙国一致以外に、国民生活の安定などという課題を仮定することが、間違いだということになる。だが之を社会民衆としての国民の政治常識的角度の方から見れば、この挙国一致なるものは、社会政策の代りとして、国民生活安定問題の替玉として、現われるのである。
だが私が今云っているのは挙国一致なるもの一般についてではない、と云うのは挙国一致なるものの理想についてではない。昨今の実際に於ける所謂「挙国一致」についてなのである。挙国一致は国民生活の理想である、之を願わないものは国民ではない。だが真の挙国一致は、そう簡単に、一瞬間に、来るものではない。もしそういう簡単な挙国一致が事実上到来しているとすれば、それは恐らく形としてだけの挙国一致であり、単にエティケットとしての挙国一致の類でしかあるまい。