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きょこくいっちたいせいとこくみんせいかつ

挙国一致体制と国民生活

戸坂 潤

「改造」改造社、1937(昭和12)年9月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,570 字 · 17 页

青空文庫

かくて広義国防というものは決して、狭義国防の単なる拡大延長には止まり得なかった筈だ。

国防観念に関する有名な陸軍新聞班のパンフレットは、処で正に、狭義国防を無条件に広義国防にまで押し拡め得ると考えられた段階のものであった。だがその後の軍部の見解は、この広義国防の立場を去って、却って狭義国防を中心にエネルギーを集中するようになった。広義国防提唱時代のモットーであった、農山漁村の更生救済などの代りに、国民は……………………………………我慢すべきであるというような倫理に到着したのが、この時期からである。而も、軍部の見解のこの転向は、予算額の総額を少しでも縮小したいという国民の要望に対応する回答として生じたものだった。と云うのは、予算の広義国防的な部分は結局削られざるを得なかったのだが、その部分が恰も、社会政策的な意義を有つ国民生活安定費に該当したわけだからである。

最近の近衛内閣財政の類は、云わば狭義国防と広義国防との中間に位置してるとも見られるだろう。勿論、之が決して最初の意味での広義国防の建前に立つものでないことは云うまでもない。その意味で之は狭義国防のものと云うべきだ。