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たんていしょうせつのなぞ

探偵小説の「謎」

江戸川 乱歩

1 奇矯な着想「オール読物」文藝春秋、1954(昭和29)年10月号<br>2 意外な犯人「週刊朝日 推理小説特集号」朝日新聞社、1955(昭和30)年10月10日<br>3 兇器としての氷「犯罪学雑誌」日本犯罪学会、1952(昭和27)年3月復刊号<br>4 異様な兇器「読切小説集」テラス社、1953(昭和28)年11月増刊<br>6 隠し方のトリック「探偵倶楽部」共栄社、1953(昭和28)年8月号<br>7 プロバビリティーの犯罪「犯罪学雑誌」日本犯罪学会、1954(昭和29)年2月号<br>8 顔のない死体「探偵倶楽部」共栄社、1952(昭和27)年5月号<br>9 変身願望「探偵倶楽部」共栄社、1953(昭和28)年2月特大号<br>10 異様な犯罪動機「宝石」岩谷書店、1950(昭和25)年8―11月号<br>11 探偵小説に現われた犯罪心理「文化人の科学」、1947(昭和22)年3月号<br>12 暗号記法の種類「宝石」、1953(昭和28)年9・10月号「類別トリック集成」の一部<br>13 魔術と探偵小説「新青年」、1946(昭和21)年10月号<br>14 明治の指紋小説「宝石」、1950(昭和25)年12月号<br>15 原始法医学書と探偵小説「自警」、1951(昭和26)年9月号<br>16 スリルの説「ぷろふいる」、1935(昭和10)年12月号<br>「類別トリック集成」目次「続幻影城」早川書房、1954(昭和29)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,820 字 · 235 页

青空文庫

彼は美青年の悪計が、いよいよ熟して、ついに細君を手に入れたと考えたに相違ない。親友の財産と妻を盗もうとしている。これは捨てておけない。しかも、その親友は、行方不明になったまま、一週間たっても、十日たっても帰って来ない。いよいよただごとではないぞ、あの顔の美しいヨタ者め、おれの親友を殺したにちがいない。このまま放ってはおけない。警察に知らせて調べてもらうほかはない。詩人がそう考えたにちがいないと、変身男は直感したのである。

とつおいつ思案のすえ、変身男は、細君と遠方へ駈けおちすることを考える。それにはいろいろ、うまい理由をこしらえなければならないが、ともかくも、細君を納得させることができそうである。その、せっぱつまった状態になったとき、まるで悪夢が醒めるように、変身が元にもどることになる。食堂でうたたねをして、ふと目覚めると、自分はもとの五十歳の中年商人に戻っていたのである。やれやれという安堵と共に、折角の冒険が惜しいような、異様な気持である。

彼は、元の商人として家に帰る。不在の理由は、突然商売上の急用ができて、外国へ旅をしたといえばすむのだ。そして、美青年は行方不明となり、もと通りの夫婦生活がはじまる。