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たんていしょうせつのなぞ

探偵小説の「謎」

江戸川 乱歩

1 奇矯な着想「オール読物」文藝春秋、1954(昭和29)年10月号<br>2 意外な犯人「週刊朝日 推理小説特集号」朝日新聞社、1955(昭和30)年10月10日<br>3 兇器としての氷「犯罪学雑誌」日本犯罪学会、1952(昭和27)年3月復刊号<br>4 異様な兇器「読切小説集」テラス社、1953(昭和28)年11月増刊<br>6 隠し方のトリック「探偵倶楽部」共栄社、1953(昭和28)年8月号<br>7 プロバビリティーの犯罪「犯罪学雑誌」日本犯罪学会、1954(昭和29)年2月号<br>8 顔のない死体「探偵倶楽部」共栄社、1952(昭和27)年5月号<br>9 変身願望「探偵倶楽部」共栄社、1953(昭和28)年2月特大号<br>10 異様な犯罪動機「宝石」岩谷書店、1950(昭和25)年8―11月号<br>11 探偵小説に現われた犯罪心理「文化人の科学」、1947(昭和22)年3月号<br>12 暗号記法の種類「宝石」、1953(昭和28)年9・10月号「類別トリック集成」の一部<br>13 魔術と探偵小説「新青年」、1946(昭和21)年10月号<br>14 明治の指紋小説「宝石」、1950(昭和25)年12月号<br>15 原始法医学書と探偵小説「自警」、1951(昭和26)年9月号<br>16 スリルの説「ぷろふいる」、1935(昭和10)年12月号<br>「類別トリック集成」目次「続幻影城」早川書房、1954(昭和29)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,820 字 · 235 页

青空文庫

の大きさになり、実に顕微鏡で調べるよりも万事の事明らかに解る。此ういう学者の用いまする高値の幻燈もあり、又透明でなき品、即ち紙取りの写真端書如き紙に書いてある物、其外風呂の中に這入る品なれば何でも明らかに写るという機械も御座い升。今日岩出竹次郎(弁護士の名)持って参りました即ち此ういう種類の機械で御座い升』

そして、この実験の結果、銀行の小使が犯人であったことがわかり、青年社員と令嬢とはめでたく結婚するという話である。二ページ見開きの挿絵に実物幻燈を映している場面が描かれ、大きな手形が白布に映っていて、その五本の指先には環状紋、蹄状紋などがハッキリと現わしてある。また、この本の表紙は、当時流行の西洋風着色石版刷りで、テーブルの上に実物幻燈器が置かれ、そのそばにお尻を大きくしたコルセットをはめた洋装令嬢が、一方の手に血の手形の紙を持って立っている姿が、美しく描かれている。

この「幻燈」がブラックの創作か、あるいはイギリスの当時の小説から筋をとったものか、いまとなっては全く手掛りがないけれども、後にしるすようにブラックの講談には涙香も翻訳したイギリス流行作家 Mary Elizabeth Braddon 女史の作品などもあるので、これもおそらくイギリス小説によったものではないかと思う。