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ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
「新日本文学」(第1~11節)、「潮流」(第16・17節)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,683 字 · 214 页
三十分もたつと子供ら赤い顔して苦しうなって、よう落付いていられんのよ」
さわ子たち若い教師は、校長に交渉し、工廠に交渉し、市にまで交渉して、保管されている床几を学童たちに使わせるように、そして、食堂の板壁をぬいて拡げ、そこを教室らしいものにするようにたのんだ。校長は工廠に責任をゆずり、工廠は、工廠所属のすべての建造物は、接収されるまでは市に移管されていると説明した。市役所へ、教員たちが行ったらば、市は大蔵省とかにその責任をゆだねられているとのことで、その大蔵省は東京にあるのであった。
さわ子は、工夫して、時間割のやりくりをはじめた。半数の学童が算数をやるような時間に、半数は外へ出て体操や作業をするようにした。これは、教師の負担を多くすることであったが、子供らは救われた。今では、そこにつめこまれているすべての学級が、そのやりくりで運営されているのであった。
田原ではラジオがどうやらきこえた。女ばかりの一家ではあるがみんなが、九時のニュースを大抵かかさずきいた。ある晩さわ子は読本をもって来て、ひろ子に相談した。大東京という題目で書かれた一章であった。