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ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
「新日本文学」(第1~11節)、「潮流」(第16・17節)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,683 字 · 214 页
思うままの心もちを披瀝し、話したい日常の経験についてあからさまな手紙をかくことが許されないことも、そっくりそのままである。そこには、素人に分らない規則があった。外界から遮断された独特の官僚主義と情実。不正腐敗のあることも同じであった。つよく生きぬくものしか、まともに生きにくい。その境遇の荒々しさも同様である。
自分たちの心痛さえ思うようには伝えられず、その能力が与えられていようと、いなかろうと、妻が一家の支柱とならざるを得ない事情を、ひろ子は自分ばかりか日本じゅうの妻たちの上に発見したのであった。
ひろ子が小説に描きたいと思う女のこころもちは、いわば日本のあらゆる女性の感情のテーマとなって来たのであった。
ところが、たった一点、ひろ子の小説が、どうしても禁止されなければならないわけがあった。ひろ子の人間として、女としての訴えが真実であり、その表現が万人の女性のものであればあるほど、禁止されなければならない理由があった。それは、ひろ子が、天皇と愛国心と幸福の建設のためにと称して行われている戦争に対して、信頼できないこころをもっている女であるということであった。