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ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
「新日本文学」(第1~11節)、「潮流」(第16・17節)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,683 字 · 214 页
「ひどい水たまりですよ」
「や、すみません」
道路の半分ばかりが、くずれているようなところもあった。
「そっち側は駄目ですよ、まるっきり崩れているから」
「――目のよう見えんというのは、ほんに難儀なものです、いちいち、ひとに云うてもおれんし……おかげさんで大助りします」
そんな工合に雨の中をひろ子とその道づれとは歩いて、一つの長い橋をわたった。何年か前、呉線まわりで東京へ帰ったことがあった。そのとき、呉のさきに、長い鉄橋があり、そこを通る汽車の窓から、同じ長さでむこうにかけられている橋の直線的な眺めが、大変美しかったおぼえがある。その長い美しい橋は河口にかけられていた。海は遠くなかった。吹き降りの雨を傘にうけかねて、上体を前かがみに、リュックを背負った二人がわたるのはその橋で、鉄橋がここで落ちているのであった。
やっと三原の町へ入った。どこもかしこも町のそとと同じように暗い。四辻で、つれが、雨傘からしずくを垂らしながら立ち止った。
「えらいすんませんが、右手に活動小屋が見えませんやろか」
「ああ、それらしいものがあります」
「白いような建物でしょうか」
すかしてみて、ひろ子は、