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ばんしゅうへいや
播州平野
宮本 百合子
「新日本文学」(第1~11節)、「潮流」(第16・17節)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 106,683 字 · 214 页
九時半までに大阪駅へつかなければ、きょう、ここまで辿りついたことが意味をなさなかった。
「待っていても、どうもきりがなさそうですな。あなた、すんませんが、私の荷物をおたのみしますぜ」
列をはなれて支店長が、荷馬車のたまっている後方へ行った。そのとき、ひろ子は、街道の上に異様な列を発見した。それは、顔も土気色、服も青土色の、小人の一隊であった。まるで、地べたから湧いて出たように、ひろ子らの横にあらわれたその小人の一隊は、どれも十二三から十四五どまりの少年たちである。頭をこす大荷物を細い背中にくくりつけて、太い綱をへこんだ子供の胸元でぶっちがえ、重さにひしがれて、両腕をチンパンジーのように垂らして体の前でゆすぶりながら、本当によち、よち、歩いて来る。どうして、こんな体不相応な大荷物を皆が皆かついでいるのだろう。明らかにこの土気色の小人群は、その荷物を背負って明石から何里かの道をここまで歩いてやって来たのだ。困憊が、同じようにやつれ、同じように瞳のどろんとした子供の顔に漲っている、見るも薄気味わるいこの小人たちが、その上みんな揃って軍服を着せられている、そのことは、トラックを待っている人群を愕かした。