轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页
静子はホッと溜息をついた。
「然しね、奥さん、これはそうあなたが簡単に考えて居られるような事じゃありませんよ」
「えっ」
「と云って、そう驚く程でもありませんがね」
浅田は態と話を切って、じっと静子の顔を見た。
静子は浅田の気味の悪い視線を避けながら、
「どう云う事なんでございましょうかしら」
「さあ、私にもよくは分りませんがね。もし支倉さんが潔白なのでしたら、あゝ逃げ廻る必要もなくあなたに周章て財産を譲る必要もない筈です。今だに姿を晦ましているのは何か重大な罪を犯して居られるのではないかと思われますがね」
「そんな筈はございません。そんな逃げ廻るような罪を犯している気遣いはありません」
静子はきっぱり云った。
「そうですか、それなら結構ですが」
浅田はニヤリとして、
「大分前の事ですが、あなたの所の女中さんが行方不明になった事がありましたね」
「はい」
静子は恨めしそうに浅田を見上げながら答えた。
「あの女中さんは、こんな事を云っちゃなんですが、支倉さんがどうかなすったのでしょう」
「はい」
「そんな事で警察へ呼ばれるんじゃないでしょうか」
「そんな筈はないと存じます。