轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はせくらじけん

支倉事件

甲賀 三郎

「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页

青空文庫

寧ろどこか閑静な捕まえ易い所に誘き出して押えるのが好い。

渡辺刑事はきっと顔を上げた。

「君、直ぐに返辞を書いて呉れ給え、文句はこう云うのだ。依頼の品は明後日午前十時、両国の坂本公園へ持参する。都合が悪かったら直ぐお知らせを乞う。好いかい」

「承知しました」

浅田は素直に渡辺刑事の面前で云われるまゝに支倉宛の手紙を認めた。渡辺は仔細に手紙を改めて、どこにも支倉に疑念をさしはさませる余地のないのを充分に確めた後に封筒に入れて、自ら封をして上書を浅田に書かせ、浅田を同道させてポストまで行って投函した。そうして厳重に浅田を監視して、追手紙を出して裏を掻かれる事を防いだ。

その日の午後訪ねて来た同僚の刑事に渡辺は委細を話して、明後日は充分抜りなく手配をして貰う事を頼んだ。我事なれりと喜んだ渡辺刑事は油断なく浅田の行動を覗いながら、その日の来るのを一日千秋の思いで待ち焦れていた。

流石不敵の支倉も今は袋の鼠同様になった。水も洩らさぬ警察の網の手は次第に狭められて彼の縛につく日も遠からぬ事になった。

怪人支倉は果して渡辺刑事のかけた罠に易々と捕えられるであろうか。