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はせくらじけん

支倉事件

甲賀 三郎

「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页

青空文庫

特に上顎門上歯が幾分前に出て居りしや否や、下顎犬歯は普通人に比して長きや否や、犬歯の俗称鬼歯と称するものなりや否や。

下顎、犬歯は噛合するとき上顎歯列の前に出ずるや、及び智歯の存否。

以上

裁縫女学校長田辺氏に命ぜられた鑑定事項は次のようだった。

鑑定事項

一、大正六年押第二八八号十五の布地の地質並に地色。

帯に用いられたる布片ありや否や。

帯とせば該布片により見たる帯としての幅如何。

帯とせば腹合帯一片なりや否や。

然りとせば其想像したる原形如何。

毛繻子に折返し其上に片側メリンスを縫付けある(片側全部なりや否やは不明)帯の残片に該当せざるや。

以上

鑑定人はいずれも承諾した旨返答をして退廷した。

尚も一人の鑑定人は高工教授の佐藤氏で、之は四、五日遅れて十月二十九日の公判廷へ呼び出されているのだが、便宜上ここへ併記して置こう。

この鑑定事項は簡単で

一、大正六年押第二八八号十五の布地の地質、染色、模様等如何。

と云うのだった。

さて十月二十五日の公判であるが、劈頭呼び出された鑑定人が退廷すると、今度は順次に証人が呼び入れられた。

第一に入廷したのは例の井戸浚いをした人夫で、裁判長の訊ねるまゝに予審廷に置けると大同小異の返答をした。