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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页
『知らない、此野郎、白ばくれるな。俺を打って酷い目に遭わしていながら』
と云い、矢庭に両手に掴みいたる十数冊の書類を振上げ、以て同証人の頭上を打たんとしたるを附添の看守の為制止せられたり。
此時立会検事は被告は証人に対し暴行を加えんとし、審問を妨ぐるを以て、被告を退廷せしめられたき旨申立てたり。
裁制長は被告に対し、立会検事より審問を妨ぐる故退廷を求むる旨の申立てあるが、如何。爾後不当の行状をなすに於ては退廷を命ずるが如何。被告は不当の行状はいたしませぬと答えたり。
裁判長は合議の上、此程度に於て、被告を立会わしめ審問すると宣したり」
こう云う次第でその日は支倉も再び怒号するような事もなく、大人しく無事にすませたのだったが、其後は癖になったものか、兎もすると法廷で発作的に騒ぎ出すのだった。
越えて大正十二年四月九日第十五回公判の如きは彼の怒号咆哮する声で、遂に審問を続行する事が出来なかった。彼の怒号の声はさしも広き法廷の外に響き渡って、何事ぞと数多の人々が駈けつけたと云う。
この時の記録にはこう書かれてある。
「被告人は庄司利喜太郎が隠して居る書類を出せ、小塚検事を呼べ、又は通信を不許可にするは不都合なり、損害を賠償せよと怒号し、傲慢不遜の態度を以て裁判長に対し、且つ不敬の言辞を弄して罵詈し、怒号止まず。