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はせくらじけん
支倉事件
甲賀 三郎
「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页
意外! 送達は左の如き符箋つきで戻って来た。
「受送達者支倉喜平を市ヶ谷刑務所につき取調べたるに別紙符箋之通り死亡せし旨田辺看守長より申出につき送達不能、依って一先及返還候也」
続いて市ヶ谷刑務所より控訴院検事長に宛て左の公文が到達した。
刑事被告人自殺の件通報
窃盗放火詐欺
強姦致傷及殺人
支倉 喜平
明治十五年三月生
大正六年三月二十日拘留
大正七年七月九日東京地方裁判所第一審判決
右者頭書被告事件に付、控訴中の処、本日午前八時より同時十分迄の間に於て、巡警看守の隙を窺い、居室南側裏窓の硝子戸框(高さ床上より約一丈)に麻縄約一尺(作業用紙袋材料を括りたるものを予て貯え、居室内に包蔵しいたるものゝ如し)許りを輪形に結びたるものを懸け、更に自己の手拭と官給の手拭とを縄状として、それを結合聯結し置き、空気抜け孔を踏台として用意の手拭を頸部に纏い垂下し、自己の体重に依り窒息自殺を遂げたるものに候条、別紙死体検案書添附此段及通報候
支倉は六月十九日、即ち忌避却下の送達書の来る前一日監房内で縊れて死んだのであった。彼が何故忌避の結果の判明するのを待たずして自殺したか。