轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

はせくらじけん

支倉事件

甲賀 三郎

「読売新聞」1927(昭和2)年1月15日~6月26日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 204,697 字 · 406 页

青空文庫

岸本は頭を掻いた。

「どうしたんだい」

「何にもしやしないのです。今日ね、随分気をつけていたんですけれども、ついバットを一枚割ったのです。すると奴さん怒りましてね、直ぐ出て行けと云うのです。どうもね、前から怪しいと睨らまれていたらしいのです。おかみさんが随分取りなして呉れましたが駄目です。頑として聞かないのです。あなたがお止めになるのを無理に自分から引受けて置きながらどうも申訳ありません」

「ふーん、まあ仕方がないさ」

石子は投げやるような調子で云ったが、

「所で、君、本所の写真屋も駄目だぜ。君の云うような宅はありゃしない」

「えっ、そうですか」

岸本は驚いた。

「それを聞きたいと楽しみにしていたんですが、駄目だったんですかなあ」

「君は一体どう云う風にして、探り出したのだい」

「屑籠の中に書損いの封筒が投げ込んであったのです」

「ふん、君の話では奴却々用心して尻尾を掴ませないと云う事だったが、屑籠のような誰でも覗きそうな所に、封筒の書損いが抛り込んであったのは可笑しいね」

「そうです。僕だって書損いだけなら容易に信用しやしないのですけれども、その前に吸取紙に押し取られているのを見たのです」