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しなまいのふくろ
支那米の袋
夢野 久作
「新青年」1929(昭和4)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,357 字 · 50 页
だけど私は黙っていたの。声を出すより先にどうかして、袋を破いてやろうと思って、一生懸命に藻掻いていたの。だけど袋が小さい上にトテモ丈夫に出来ているので、噛み付こうにも噛み付けないし、力一パイ足を踏ん張ると首の骨が折れそうになるし、その苦しさったらなかったわ。だけど、それでも生命がけの思いで、力のありったけ出して藻掻いているうちに、妾のまわりの叫び声が一ツ一ツに担ぎ上げられて、四ツか五ツ宛行列を立てながら階段を昇りはじめたの。その時にはチョットの間みんなの叫び声は止んだようだけど、その階段の音が聞えなくなると、又前よりも非道い泣き声や金切声がゴチャゴチャに聞え始めたの。めいめいに男の名を呼んでヒイヒイ泣いていたようよ。
だけど妾それでも泣かなかったの。そうして死に物狂いになって、両手で頭をシッカリと抱えながら、足の処の結び目を何度も何度も蹴ったり踏んだりしていたら、身体中が汗みどろになって、髪毛が顔中に粘り付いて、眼も口も開けられなくなってしまったの。その中に袋の中は湯気が一パイ詰まったように息苦しくなって来るし、髪の毛は顔から二の腕まで絡まって、動くたんびにチクチク抜けて行くし、おまけに着物と毛布が胸の上の処でゴチャゴチャになって、袋の中一パイにコダワリながら、お乳を上へ上へと押し上げるので、その苦し