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しなまいのふくろ

支那米の袋

夢野 久作

「新青年」1929(昭和4)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,357 字 · 50 页

青空文庫

……だけど、そのうちに妾の着物と毛布が両手と一緒に、だんだん上の方へ上って来て、息が出来ない位に切なくなって来ると、黒ん坊はとうとう妾の両足を捉まえて、足首の処を両手でギューと握り締めちゃったの。

そん時に妾は、初めて、大きな声を振り絞ったわ。両手を顔に当てて力一パイ反りかえりながら、

「助けて助けて助けて。ヤングヤングヤングヤング」

ってね。ええ……それあ大きな声だったわよ。咽喉が破れる位呶鳴ってやったんですもの。そうして両足を押えられたまま、起き上っては反りかえり反りかえりして、固い床板の上に頭をブッ付け始めたの。死んだ方がいいと思ってね。

そうしたら黒ん坊もその勢いに驚いて、諦らめる気になったんでしょう。

「……ウウウウ……そんなに死にてえのかナア……」

って喘ぎ喘ぎ云いながら、妾の両足を掴んで、床の上をズルズルと、片隅に引っぱって行くと思ったら、そこに置いてあったらしい細い針金で、足首の処から先にグルグルグルグルと巻き立てて、胸の処まで袋ごしに締め付けてしまったの……。

その時の苦しさったら、それあ、とてもお話ししたって解かりやしないわよ。だってチョットでも太い息をするか、動くかすると、すぐに長い細い針金が刃物みたいに喰い込んで、そこいら中の肉が切れて落ちそうになるんですもの……それでいて、いくら喘い