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せいじとさっかのげんじつ

政治と作家の現実

宮本 百合子

「文学」1947(昭和22)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,700 字 · 37 页

青空文庫

という作品とアンナ・アフマートヴァの詩の批判に当てられている。ところが、日本の読者にとって、ゾシチェンコはほとんどまったくなじみがない。作品で翻訳されているのもおそらくないだろう。これは日本の出版屋が、目ざとくて、すこしでも評判な作品なら、最も誇大にかついで翻訳を売りだしてきた慣例に照らしあわせてみて、なかなか興味ふかい現象であると思う。つまりゾシチェンコは、少くとも外国へ、これがソヴェト作家の代表であるとおし出すにしてはあまり陋小な文士であったのだ、ということである。これは私たち日本の作家が外国人に、誰を推すか、と訊かれたときの心持を思い出してみればよくわかる。

ほんとうの文学作品であるとはいえないけれども、国内ではなにかの理由で存在している作家や作品というものは現実にある。現在日本のジャーナリズム文学を大幅に流れているデカダンティズムやエロティシズムの傾向とその作家たちは、けっして日本の現代文学の代表として推される文学的価値はもっていない。「横になった令嬢」を外国語に翻訳させたいと思う日本人はいない。だが、国内のジャーナリズムにはそういう作品も作家も存在している。