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きょういくえいがについて

教育映画について

寺田 寅彦

「公民教育」1932(昭和7)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,491 字 · 9 页

青空文庫

ところで我邦の教育映画はどんな有様であるか。自分はまだ不幸にしてその実例を多く見ていないから何とも批評する資格はないが、わずかに見ることを得た二、三のものは、甚だ愚劣なものであった。例えば火山の噴火を示すのでも本当に子供だましの模型や如何わしい地殻断面図の行列であって、一つも現象の科学的な要点に触れていなかった。また例えば子供の誤って呑込んだおはじきが消化器系を通過する径路を示すのを見たが、これなどでも消化器というものの本質には少しも触れないで、ただ土管のつながりのようなものとしか思われないように出来ていた。勿論これらはほんの素人の慰み半分の小型映画作品であったのでこういう厳重な批評をするのは無理であろうが、これでもおおよその水準を窺うことは出来るであろうと思われる。

元来教育映画は骨の折れる割合に商品価値の低いものである以上、現在日本の映画会社では到底手をつけないであろうから、どうしても政府の事業としてやる外はないと思われる。しかし現在我邦の政府で映画教育の価値がほんのわずかしか認められていないとしたら、何時になったら立派な教育映画が出来るようになるか全く見込が立たない有様である。