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ぶんかせいさんしゃとしてのじかく

文化生産者としての自覚

宮本 百合子

「評論」1947(昭和22)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,920 字 · 10 页

青空文庫

これらの人々は、一歩ずつより合理的な生産の関係に入ろうとし、憲法が明記している基本的人権を実現させようと努力している。経済的な要求の必然は、今日生きて働いているすべての人にわかっている。けれども、人間は食だけで生きているものだろうか。或は投げ与えられたものを食うことで満足してゆくほど動物めいたものだろうか。そうでないと思う。勤労大衆は、自分の社会的勤労の価値を自覚すればするほど、自分の人間のねうちに目ざめ、俺の意見に自信をもち、俺たちの組織に確信を得、そして、勤労階級の発展のための希望と実行を、自分の一生の発展と希望との同義語として心に抱いて来る。

まともな勤労人民の、文化的な欲求というものは、音楽でみれば職場のハーモニカ合奏団、コーラス団から、ショスタコヴィッチの第九シムフォニーをきいて見たいと思うところまで拡大している。初歩的な機械についての案内書から、資本主義の解説から、トルストイやゴーリキイまでが読みたいと思われ、読書は生活の必要と感じられている。組合は、文化部の意味を理解しはじめて来ている。けれども、このような悪質な闇紙問題にからむ悪出版について、出版・印刷の労働組合とその組合員はどう考えているだろうか。