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ぶんげいのてつがくてききそ

文芸の哲学的基礎

夏目 漱石

文艺创作有没有哲学根基?夏目漱石从自身经验出发,探讨文艺的本质和意义,引人深思。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,519 字 · 98 页

青空文庫

小説には無論ありますまい。脚本は固よりです。詳しく云うと、暇がかかるから、このくらいで御免蒙って先へ進みます。現代の理想が美でなければ、善であろうか、愛であろうか。この種の理想は無論幾多の作物中に経となり緯となりて織り込まれているには相違ないが、これが現代の理想だと云うには、遥に微弱すぎると思います。それでは荘厳だろうか。荘厳が現代の理想ならばいささか頼母しい気持もするが、実際はかえって反対である。現代の世ほど heroism に欠乏した世はなく、また現代の文学ほど heroism を発揚しない文学は少かろうと思います。現代の世に荘厳の感を起す悲劇は一つも出ないのでも分ります。現代文芸の理想が美にもあらず、善にもあらずまた荘厳にもあらざる以上は、その理想は真の一字にあるに相違ない。例を引けば長くなる、証を挙げれば大変である。仕方がないから、ただ真の一字が現代文芸ことに文学の理想であると云い放っておきます。しばらくこれを事実と御承認を願いたい。ところでこの真なるものも、いわゆる分化作用で、いろいろの種類と程度を有しているには相違ない、英仏独露の諸書を猟渉したらばその変形のおもなものを指摘する事はできる事になりましょう。