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ぶんげいのてつがくてききそ
文芸の哲学的基礎
文艺创作有没有哲学根基?夏目漱石从自身经验出发,探讨文艺的本质和意义,引人深思。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,519 字 · 98 页
遠景を見るのに肉眼で見ています。度を合せぬのみか、双眼鏡を用いようともしません。まあ智慧のない叙方と云ってよいでしょう。あるいは心配して読者の便宜をはかってくれぬ書き方、呑気もしくは不親切な書き方と云っても悪くはありますまい。もしくは伸縮方を解せぬ、弾力性のない文章と評しても構わないでしょう。汽車電車は無論人力さえ工夫する手段を知らないで、どこまでも親譲りの二本足でのそのそ歩いて行く文章であります。したがって散文的の感があるのです。散文的な文章とは馬へも乗れず、車へも乗れず、何らの才覚がなくって、ただ地道に御拾いでおいでになる文章を云うのであります。これはけっして悪口ではありません、御拾いも時々は結構であります。ただ年が年中足を擂木にして、火事見舞に行くんでも、葬式の供に立つんでも同じ心得で、てくてくやっているのは、本人の勝手だと云えば云うようなものの、あまり器量のない話であります。デフォーははなはだ達筆で生涯に三百何部と云う書物をかきました。まあ車夫のような文章家なのです。
これで二家の文章の批評は了ります。この批評によって、我々の得た結論は何であるかと云うと、文芸に在って技巧は大切なものであると云う事であります。