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ぶんげいじひょう
文芸時評
宮本 百合子
「中外商業新報」1937(昭和12)年7月30日~8月1日、3日、4日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,097 字 · 15 页
ヒロイズムやスリルの追求に堕す危険をもつのである。
ガンジーの糸車
「文化の再生における信仰と科学」という亀井勝一郎氏の論文(文芸)と、『中央公論』にのっている小林秀雄氏の「文芸批評の行方」という論文とは、昨今この種の批評家といわれている人々の辿っている内的斜面の姿を二人連弾で語っているところに、読者の注意をひくものがあった。
この二つの論文は、執筆に当ってあらかじめ打合わせがされたのかどうかはもとより知らないが、思惟の傾向の本質では全く一体二面であるし、或る意味の組織的生産の印象を与えている。二人の筆者は、マルクスが「経済学批判序説」の終りで云っている文化に対する一句を同じく引用し、等しくその上に立場を求めて、この数年来世界文芸批評の分野に立ちあらわれている科学的批評の態度を否定している。古典の生れた環境の解明だけでは新しく文化を再生せしめ、「自己を変貌せしめる」役には立たず、それを憧れ、信仰し、永遠の青春として味到してはじめて血肉となるのであるから、例えば「日本的なるもの」の解釈に当って、その問題の発生を社会的な原因の面からだけ見るような一部の批評家、戸坂潤、岡邦雄の如きは反動であるという意見なのである。